役員報酬は、会社の収益状況、財務状況、事業の今後の見通し、役員の貢献度、従業員の給与とのバランス、税負担や必要とされる生活費など、様々なことを考慮して決定されていると思います。
ただ、役員報酬のうち、不相当に高額な部分の金額、いわゆる過大役員給与は損金の額に算入されない(法人税法34条1項及び2項)という法人税法上の規定がありますので、会社の規模に応じた相場を目安として考えることも大切です。
国税庁がホームページ上で公表している【令和5年分 民間給与実態統計調査結果】によりますと、例えば、資本金別に集計した役員報酬の年間平均金額は以下のようになります。
資本金 | 役員報酬の年間平均金額 |
---|---|
2,000万円未満 | 6,344,000円 |
2,000万円以上 | 9,404,000円 |
5,000万円以上 | 11,477,000円 |
1億円以上 | 13,809,000円 |
10億円以上 | 19,463,000円 |
国税庁:【令和5年分 民間給与実態統計調査結果】
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2023/minkan.htm
では、不相当に高額な部分の金額とは、何を基準に求められるのでしょうか。
それは、法人税法施行令第70条に定められている「実質基準」と「形式基準」で判定をします。
「実質基準」は、役員の職務内容、会社の収益、給与の支給状況や同業他社の役員報酬と比較して判定する方法です。
ただ、同業他社と比較する場合、売上、利益額、純資産額などの様々な指標を総合して同規模の会社を抽出する必要があり、現実的には難しい作業と言わざるを得ません。
従って、国税庁が公表している「民間給与実態統計調査結果」などの公的資料を参考にするのが、安全な方法の一つといえます。
※ 「民間給与実態統計調査結果」は、あくまで参考数値の一つです。
不相当に高額な部分の金額の判定は、前述の通り、役員の職務内容、会社の収益、給与の支給状況など、個々の会社状況を総合的に加味して判断されます。
「形式基準」は、定款の規定、株主総会や取締役会などの決議内容に基づいて支給されているかどうかで判定します。
例えば、株主総会で年間の支給限度額を定めている場合、それを超えた金額は不相当に高額な部分の金額と判定され、超えた部分の金額は損金に算入できません。
税務調査では「形式基準」を満たしているかどうかを確認するため、議事録の提出を求めてくることもあります。
いつでも提出できるように、作成した議事録は必ず保管するようにしましょう。